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男心をくすぐる腕時計をリーズナブルに


この少し後、ジャガー・ルクルトが、このアラームウォッチの分野に参入した。その時計こそ、メモボックスである。


ジャガー・ ルクルトのメモボックス。

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ジャガー・ルクルト メモボックス
 メモボックスは、ジャガー・ルクルトが1951~51年に手巻き式のCal.489を搭載して発表したモデルだ。2個の独立したリューズにより、アラーム部と計時部を別々に手動で巻き上げ、設定することがきるようになっていた。メモボックス(Memovox)という名前は、ラテン語のMemor(想起)とVox(声)を組み合わせた言葉で、“想起させる声”という意味がある。アラームウォッチにはにぴったりの選択だ。

 それから数年経った1956年、Cal.489はCal.815に置き換えられた。これにより、メモボックスは初の自動巻きアラームウォッチとなった。Cal.815を搭載したメモボックスのアラーム機能は、依然としてムーブメントの他の部分とは別個に巻くことで発揮されるようになっていた。アラーム用のオン/オフのスイッチがないことから、巻き上げれば常にセットされる仕組みになっている。したがって、自動巻きで時時計が動いている時には、常に12時間以内の時刻にアラームが設定されることを意味する。これには明らかに問題があった。


Cal.825ムーブメントを搭載したジャガー・ルクルトのメモボックス。

 最後に、最も象徴的なメモボックスのムーブメント、Cal.825に目を紹介する。これはCal.815に日付のモジュールを加えたものだ。モジュールのムーブメントには、巧妙に作られたものと、ぎこちなく組み込まれたものがあるが、Cal.825は間違いないく前者だ。Cal.825の決定的な特徴は、いわゆる“バンパー”式の自動巻き機構とハンマー式アラームである。手首に装着してみると、この2つが実際に前後に動いているのが感じ取れるが、これは不快というよりも、むしろ魅力的な感覚だ。


メモボックスのカーブした針に迫る。

 ジャガー・ルクルトはそれだけに留まらず、最終的にはフルローター巻き上げのメモボックスを製作し、アラーム機構を近代化して、多くの関連する腕時計を製作した。そうした時計の中には、有名なディープシー・アラーム、ポラリス、アムボックスのコレクションが含まれれるが、これらは全て、ケースと構造の点から見ると、我々が今回取り上げているメモボックスとは本質的に異なるものだ。とはいえ、外観はともかく、ムーブメントはほとんど同じである。


隣り合って並ぶメモボックスとポラリス。

 2010年、ジャガー・ルクルトは20年以上の休眠期間を経て、メモボックスをマスター・メモボックスの形で再び市場に登場させた。Cal.956ムーブメントを搭載したこの時計は明らかに、今回のCal.825を搭載したメモボックスへのオマージュが込められているが、それは現代のマスターコレクションの文脈においてのことだ。

チュードル 時計:https://www.tudorwatch.com/ja